子供じみた

ずっと私のものだった。
いらないと思いつつ、それなりに気に入っていた。

一番大事なものではなかったけど、
それでも私のものだった。


それがあっさりと手をすり抜けて、
他人のものになった。


そんな欲しかったわけじゃない、
だけど、他人の手にあるのが、
なぜか悔しかった。


そんな自分が最低だと思った。
24にもなって、子供じみている。
バカげている。


よく考えれば、そんなことなんてできるはずない。
私が自分のものだと思っている長い一年間に、
あの子はずっと泣いていたかもしれない。
苦しかったかもしれない。
突き放しても、突き放しても、結局、私は手放さなかったから。
安い韓国ドラマの嫌な女みたいに。
結末もそっくり。
結局、手からすり抜けていく。


でもね、
なんでだか、言ってみたくなった。
あなたを悲しませたりはしたくないけど、
彼の困った顔は見たい。
狂気じみているかな。


もし、
私が、


「私とどっちが好き?」


って聞いたら、


答えは見つかるかな。
もうきっと遅いのね。


きっとあなたの名前を呼ぶと思う。
それで、きっと私はたぶんもやもやが消えるかもしれない。
そしたら、やっと手放せるかも。
ぬるま湯みたいに、あまりに居心地がよかった。
どんなにひどいこと言っても、
落ち込んだ時には、慰めてくれて、
どんなに突き放しても、誕生日にはプレゼントをくれて。
だから、手放せなかった。
バカみたい。


でも、
わたしの名前を呼ぶのなら、
きっとこうやって答える。


「わからない。好きなのかも、好きじゃないのかも」


ホント、バカみたい。